事業の目的
機構は、関係研究機関の技術・知見を融合し、農林漁業者や民間企業等の参画の下で未利用地等を活用した様々な実証研究等に取り組み、労働力不足や高度な資源循環の実現といった我が国や世界に共通する課題の解決に向け、スマート農業やカーボンニュートラル等を通じた地域循環型経済農業を核とした農林水産業復興を目指しています。 機構の作物駆動型栽培環境改良ユニットでは、作物の放射性セシウム(以下、「放射性Cs」という。)吸収抑制対策技術を高度化し、福島県の営農面積拡大等を通じた農業の創造的復興に資することを目指しています。 本事業は、同ユニットの目的の達成に資するため、特に、今後、営農再開が進められる特定復興再生拠点区域等における水田作、飼料作及び園芸作の営農推進における課題解決に必要な研究及び技術開発を実施するものです。1.事業内容
上記目的を踏まえ、以下の事業テーマについて、募集します。(1)事業テーマ:持続的な放射性Cs吸収抑制対策を可能にする技術の開発
除染後農地では、これまで、作物の放射性Cs吸収をカリウム(以下、「K」という。)が抑制する性質を利用して、Kの上乗せ施肥による吸収抑制対策が講じられてきた。一方、K肥料は多くを輸入に依存しており、価格高騰や供給不安定性のリスクを踏まえると、より緻密にK必要量を推定し、これに基づきK施肥量を決定する放射性Cs吸収抑制対策技術の確立が必要である。
また、除染後農地では、RCs濃度や土壌条件の空間的不均一性が大きい事例があり、ほ場条件の違いを前提とした営農判断が成立しにくく、ほ場全体を一つの判断単位として扱う従来管理では、作付可否や施肥判断が適切に行えない場合がある。本事業テーマでは、水田作(水稲、大豆等)を対象に、特に、特定復興再生拠点区域や今後、除染及び営農再開に向けた取り組みが推進される地域での活用を想定して、ほ場内の放射性Csの分布不均一性並びに放射性Cs及びKの挙動に影響する土壌の性質に対応した精密なK施肥管理手法の構築のため、以下の①~④を実施する。
① 土壌の不均一性を前提として、除染後農地におけるほ場単位でのRCs吸収リスクおよびK必要量の評価技術の高度化
② 評価結果を作付可否、作目選択および施肥判断に活用するための判断前提・判断手順の整理
③ 非交換性Kを含む土壌条件を踏まえ、合理的な施肥判断に資する評価手法および管理指標の確立
④ ①~③の結果を統合し、行政・普及・生産者が活用可能な営農判断体系としてとりまとめ、成果報告書(年度ごと及び事業完了時)を作成する。
(2)事業テーマ:安全な飼料の増産に向けた放射性セシウム吸収抑制対策技術の開発
福島県の農業分野の復興において、畜産・酪農は重要な部門であり、大規模経営体を含め、営農再開が進められている。一方、畜産・酪農では飼料の多くを輸入に依存しており、価格高騰や供給不安定性のリスクを踏まえると、復興を安定的に推進するには、安全な飼料を地域で生産し、地域の畜産・酪農に供給する基盤の構築が必要である。
乳牛等へのK濃度が過剰に高い牧草の給与は、牛のミネラル代謝異常を引き起こし、代謝病の原因となることから、放射性Cs吸収リスクと牛の代謝病発生リスクを併せて低減するには、牧草のK濃度を一定以上に上げない栽培体系の構築が必要である。この課題の解決に向けた技術として、これまで農林水産分野の先端技術展開事業において、放射性Csの吸収性が低い牧草としてトールフェスクや牧草の放射性Cs吸収を抑制する資材として金雲母が見出されているが、これらの個別技術を低い施肥量のKと組み合わせ、土壌条件に応じた栽培技術の体系化を行う必要がある。加えて、地域の自給飼料生産を支える技術開発として、牧草以外の飼料用作物についても、土壌条件等に応じた栽培管理法を確立する必要がある。
本事業テーマでは、特に、特定復興再生拠点区域や今後、除染及び営農再開に向けた取り組みが推進される地域での牧草と飼料用トウモロコシ(青刈り用、子実用)の栽培に適応することを想定して、土壌条件に応じた放射性Cs吸収抑制対策技術構築のため、①~⑤を実施する。
① トールフェスク等牧草のK必要量推定法の確立
② 土壌条件(放射性Cs、交換性K、非交換性Kの含量)に応じてK施肥量を最適化した放射性Cs吸収抑制対策技術体系の確立
③ 飼料用トウモロコシの放射性Cs吸収特性の解明及び吸収に影響する土壌及び植物の要因分析
④ 飼料用トウモロコシの放射性Cs吸収抑制対策技術の確立
⑤ ①~④の結果を取りまとめた成果報告書(年度ごと及び事業完了時)の作成
(3)事業テーマ:園芸作物 の RCs 吸収抑制技術の開発
園芸作物は、福島県の農業分野の復興において重要な作物であり、現在、野菜については産地再生や新産地の創成、果樹については営農再開に向けた改植や新植が課題となっている。農林水産分野の先端技術展開事業により、KURAMA(自動放射線量計測システム)によるほ場内の土壌RCs分布状況の把握が可能になり、特定復興再生拠点区域でも土壌分析値に基づいた肥培管理と放射性物質吸収抑制対策を併せて実施することで水稲・畑作物の安全性と生産性を確認できるようになった。一方、水稲とは異なり、園芸作物について、体系的な吸収抑制の技術は十分構築されておらず、栽培面積の拡大に向けて放射性Cs吸収抑制対策技術の整備が必要である。
本研究テーマでは、福島県内において重点的に栽培面積拡大が進められる野菜(ブロッコリー、カンショ、ネギ、タマネギ、キャベツ、コマツナ)と果樹(リンゴ、ナシ、カキ、ユズ、ミカン)を対象とし、安全な作物の生産を支える基盤技術構築のため、以下の①~⑦を実施する。
① 野菜への放射性Cs吸収を抑制するK必要量算定式の精緻化
② 野菜における有機肥料の放射性Cs吸収抑制効果の検証と機序解明
③ 野菜の可食部の放射性Cs濃度早期推定法の確立
④ ①~③の成果を活用した野菜の放射性Cs吸収抑制対策技術の確立
⑤ 果樹における放射性Cs吸収移行性の把握
⑥ 果樹新植時における放射性Cs吸収抑制対策技術の確立
⑦ ①~⑥の結果を取りまとめた成果報告書(年度ごと及び事業完了時)の作成
※令和8年度予算規模:事業テーマ(1)~(3)あわせて、6,500万円を上限としますが、各事業テーマの予算規模は(1)2,500万円、(2)2,000万円、(3)2,000万円をそれぞれ上限とします。なお、各事業テーマ単独での応募も可とします。
令和9年度以降の各年度の予算額については、令和8年度と同額を上限として研究計画を策定ください。
2.募集期間
令和8年6月26日(金曜日)から令和8年7月27日(月曜日)17時00分まで(厳守)3.募集要領
(1)募集要項
(2)募集要項様式
(3)契約書(案)
(4)参考資料、ガイドライン等
1)委託業務事務処理マニュアル
2)消費税相当額計算書
3)コンソーシアム形式の契約手続きについて
4.応募方法
応募書類は電子メールにより提出してください。送信先及び送信方法については募集要項等をご覧ください。5.説明会について
本募集に係る説明会を以下の日程で開催します。
(1)日時:令和8年7月6日(月曜日)13時00分~
(2)会場:オンライン(「Zoom」により行います。)
6.今後の予定
(1)企画提案書の受付期間:令和8年6月26日(金曜日)から令和8年7月27日(月曜日)17時00分まで
(2)契約候補者の選定審査:令和8年7月~8月
(3)契約候補者の決定通知:令和8年8月~9月