この記事では、AIロボットのFR-1が大学生のレイさんに、WRS2025過酷環境F-REIチャレンジの競技の一つ「プラント災害チャレンジ」について、その目的と意義、ルールについて解説しています。
FR-1: こんにちは、レイさん!WRS2025過酷環境F-REIチャレンジのプラント災害チャレンジについて、その目的と意義、そして具体的なルールをご説明しましょう。
レイ : わぁ、ありがとうございます!ロボットがプラントの災害現場で活躍するって、どんなことなんでしょう?なんだか難しそうですね。
FR-1: ご安心ください。一つずつ丁寧にご説明しますね。
プラント災害チャレンジ:目的と意義
FR-1:まず、プラント災害チャレンジの目的と意義からご説明します。 工業プラントでは、パイプやタンク設備の老朽化や経年劣化、ボルトの緩みなどによって、化学物質の漏れや爆発事故が数多く報告されています。このような事故が発生した際、作業員や緊急対応者の安全を確保しつつ、迅速な緊急対応を行うためにロボットの導入が期待されています。
しかし、事故現場は火災や煙が発生し、瓦礫で経路が寸断され、通信が途絶するなど、ロボットにとっても非常に過酷な環境となります。 プラント災害チャレンジは、このような過酷な環境下での情報収集や作業を競技課題とし、ロボットのデジタルツインとプラントのデジタルツインを融合させた「プラントロボットデジタルツインシステム」の導入を通じて、プラント設備に対する災害対応・予防の高度化を目指すものです。
このシステムによって、ロボットが収集した情報やその行動がデジタルツインに統合される利点が観客に示され、プラント業界関係者に対して次世代プラントの災害対応の将来像を示すことを目指しています。
プラントロボットデジタルツインシステム
レイ:デジタルツインって、最近よく聞く言葉ですけど、この競技では具体的にどう使うんですか?
FR-1:良い質問ですね。プラント災害チャレンジにおける「プラントロボットデジタルツインシステム」は、以下の2つのデジタルツインを融合させた、新しいコンセプトのシステムです。
● プラントのデジタルツイン:ロボットを含むリモートセンサーで収集されたデータを仮想空間に送信し、プラントの稼働状況を再現します。これにより、設備の劣化や損傷の早期把握、事故・災害リスクの予測、稼働状態の最適化などを目指します。
● ロボットのデジタルツイン:実ロボット自身の内部状態や外部環境情報を仮想空間上で再現し、環境モデル、センシング、行動計画などを通じてロボットの知能を構築します。実ロボットは、このデジタルツインによる行動計画に基づいて行動します。
競技では、チームは調査結果をデジタル化してデジタルツインシステムに即時報告することや、デジタルツインシステムからの指示に迅速に対応することが求められます。このデジタルツインは運営側が用意し、ロボットとデジタルツインとの双方向通信の共通仕様を提供します。
競技フィールドとミッション
レイ:デジタルツインと連携して、ロボットがどんなことをするんですか?具体的な競技内容も気になります!
FR-1:競技は、福島ロボットテストフィールドにある6階建ての模擬プラントタワーで行われます。競技では、このタワーの1階から4階までを使用し、各階に設置された設備を対象としたミッションが用意されています。ロボットの操作と制御は、模擬プラントタワー1階(屋外)に設置されたオペレーションエリアから行われます。
プラント災害チャレンジには、以下の6つのミッションがあります。
● P1:日常点検/設備調整(Inspection and Maintenance):
○ プラント稼働状態の点検を行い、圧力計の数値を読み取って報告し、デジタルツインの指示に従ってバルブの開閉を行います。
○ 風雨、狭い場所、視覚的な障害(外乱光、汚れ、水蒸気など)といった過酷環境が想定されます。
● P2:異常検知(Fault Detection):
○ プラント稼働状態の点検を行い、デジタルツインから異常箇所の発見通知を受けた場合、指示されたバルブ操作などの対応を行います。
○ P1と同様の過酷環境に加え、状況変化へのリアルタイムな適応能力が求められます。
● P3:設備診断:タンク(Diagnosis: Tank):
○ 大型タンク壁面の老朽化や経年劣化による変状(クラックや減肉など)を発見し、検査結果をデジタルツインに報告します。
○ 競技では、運営側が用意する超音波厚さ計(27MG, Olympus)と探触子(D799, Olympus)をロボットに搭載して減肉を計測します。
○ 風雨下での高所や螺旋階段での移動、広範囲の検査能力、正確な検査報告が過酷要素となります。
● P4:事故対応:瓦礫撤去/バルブ操作(Accident Response: Remove Debris/Close Valve):
○ ボイラー爆発事故を想定し、被災状況調査、散乱した瓦礫の撤去、ガス漏れの危険性がある場合のバルブ操作を行います。
○ 環境変化へのリアルタイムな適応性や、通信障害(遅延・遮断)下での作業能力が求められます。
● P5:トンネル災害対応(Disaster Response: Tunnel):
○ これは今回初めて導入される新しいミッションです。地震によるトンネル崩落事故が発生し、車両が立ち往生している状況を想定しています。プラント点検ロボットを用いてトンネル内の被災状況を調査します。
○ タスクには、天井に設置されたジェットファンの取り付け健全性調査、上部障害物や陸上障害物の通過、車両内やダミー人形の調査が含まれます。
○ このミッションでは、デジタルツインへの報告は不要とされています。
○ 暗い照明や通信障害、物理的な障害物(ドローンに対する風、UGVに対する土砂・瓦礫)、狭い場所での移動・作業能力が過酷要素となります。
● P6:緊急対応(Emergency Response: Search):
○ 事故への緊急対応をテーマとした総合的な競技です。点検中に事故が発生したという想定で、プラント内の被災状況を調査報告し、行方不明者の捜索を行います。
○ 不測の環境変化へのリアルタイムな適応性、煙や水蒸気による視覚障害下での調査、通信障害下での緊急対応が過酷要素となります。
ロボットの要件と得点
レイ:なるほど、たくさんのミッションがあるんですね!ロボットには何か特別な条件があるんですか?あと、どうやって勝敗が決まるんですか?
FR-1:ロボットにはいくつかの要件があります。
● ロボットの形態はクローラ型、ドローン型、ヒューマノイド型、脚型、ヘビ型など、どのような形態でも使用可能です。
● 使用できるロボットの台数に制限はありません。
● 競技開始時の全ロボットの地面への投影面積合計は、1.44平方メートル(1.2m x 1.2m)を超えてはなりません。高さは無制限です。
● ロボット1台あたりの総重量は最大130kgです。
● 使用する電池は安全が保証されているものとし、緊急停止スイッチの取り付けが必須です。
● 日本の電波法に準拠している必要があります。
● 階段を踏破するミッションでは、安全対策のため、アイボルトなどをロボット本体に取り付けておく必要があります。これが不可能な場合、そのミッションには参加できません。
● 競技時間中のロボットの修理は禁止されています。
得点については、各ミッションで獲得した「ミッションポイント(MP)」、高度なロボット技術を評価する「高度技術ポイント(AP)」、そしてミッション達成時間に応じた「時間ポイント(TP)」の合計点で競われます。
● MP:各競技タスクの達成度に応じて与えられます。
● AP:自律移動や自動操作など、高度なロボット技術を実証したチームに加点されます。事前検査時のヒアリングやデモンストレーションで認定されます。
● TP:ミッションの達成時間に応じて加点されます。
さらに、防水防塵性(IP64以上)や防爆性を持つロボットには、その性能に応じて係数が乗算され、総得点に反映されます。
レイ:P5のトンネル競技が新しく追加される競技で、デジタルツインへの報告は不要なんですね!自律移動や自動操作ができるロボットだと、より高い評価を受けられるのも面白いです。ありがとうございました!プラント災害チャレンジ、とてもよく分かりました!
FR-1:どういたしまして、レイさん。プラント災害チャレンジを通じて、災害対応ロボット技術の発展と社会実装が加速されることを期待しています。
写真1:プラント災害チャレンジのメイン会場となる模擬プラントタワー
写真2:今回初開催となるトンネル競技の現場
写真3:審判員によるプラント災害チャレンジの現場確認が行われ、準備が着々と進んでいます。
写真4:審判員によるプラント災害チャレンジの現場確認が行われ、準備が着々と進んでいます。