World Robot Summit (WRS) 2025過酷環境F-REIチャレンジとは、災害現場のような厳しい環境(過酷環境)で活躍するロボットやドローンの技術開発を促し、それらを実際に社会で役立てることを目指す国際的なイベントです。このチャレンジは、福島国際研究教育機構(F-REI)が主催し、経済産業省が共催しています。
このイベントは、2025年10月10日(金)から10月12日(日)にかけて、福島ロボットテストフィールド(福島県南相馬市)で開催されます。一部競技についてはRTF浪江滑走路(福島県双葉郡浪江町)で実施いたします。
本チャレンジは、国際的なロボット競技会「ワールド・ロボット・サミット(WRS)」の一部として実施されるものです。その最大の特徴は、研究開発段階の技術ではなく、「実際の災害現場や過酷環境で本当に役立つ技術であるか」を評価の中心に据えている点にあります。東日本大震災からの復興を進める福島において開催することにより、地域の経験と知見を次世代技術の発展へと結びつけることを目的としています。
本チャレンジは、以下の4つの競技から構成されます。
図1.WRS 2025過酷環境F-REIチャレンジで実施される競技一覧
1. 過酷環境ドローンチャレンジ(HEDC)
通信の途絶や悪天候など、厳しい条件下でドローンが安全かつ確実に任務を遂行できるかを競います。評価の観点には、飛行の安定性、探査(発見・位置特定)、物資搬送の確実性などが含まれ、自律的な運用で課題を達成できることが重視されます。単なる機体性能だけでなく、運用体制(人とシステムの連携)まで含めて「実際に災害対応に役立つか」を総合的に問う競技です。
2. プラント災害チャレンジ
発電所や工場などの設備を模した環境で、災害により被害を受けた箇所の点検・操作・安全確認をロボットがどれだけ正確かつ効率的に実施できるかを評価します。デジタルツイン(現場の状況をデジタル空間に再現する技術)の活用により、収集データをもとに仮想空間での解析や遠隔支援を行う取り組みも視野に入れ、安全かつ迅速な対応の可能性を拡げます。
3. シミュレーション災害チャレンジ
本競技は、コンピュータ上の仮想空間に災害後のプラント環境を再現し、そこで競技を行うものです。実機を用いないため機体破損のリスクを避けつつ、大規模で複雑なシナリオを設定できます。競技者は仮想ロボットを操作し、探索や救助手順を実施し、その網羅性、判断の正確さ、手順の適切さが評価されます。
4. 標準性能評価ドローンチャレンジ(STM)
小型ドローンの基本性能を客観的に測定する競技です。NIST(米国国立標準技術研究所)による国際的な評価枠組みや、NEDOのReAMo事業といった取組を踏まえて過酷環境の要素を加え、共通性の高い評価指標の整備を図ります。将来的な標準化・認証制度への展開を見据えた重要な位置づけです。
これらの競技には、日本国内のみならず海外からも多くの研究機関・大学・企業が参加を予定しており、国際的な技術交流の場ともなります(参加チームについては後日の記事で紹介します)。技術者や研究者にとっては、新しい知見の共有や連携を深める貴重な機会であり、社会にとっては将来の防災・減災技術の発展につながるものです。
福島での開催は、震災からの復興に取り組む地域において、ロボット技術が果たす役割を広く示す意義を持ちます。安全で持続可能な社会を実現するための国際的な挑戦の場として、本チャレンジにご注目いただければ幸いです。
今後、各競技の具体的なルールや、参加チームの特徴、運営側の舞台裏などを順次ご紹介していきます。競技直前には注目ポイントや見どころもお伝えし、読者の皆さまに現地やオンライン配信をより深く楽しんでいただけるよう準備してまいります。そして大会終了後には、得られた成果や未来への展望についても詳しくお届けします。
