研究開発

【インタビュー記事】学生時代をともに過ごした先輩のノーベル化学賞受賞を祝して(錦谷副分野長)

錦谷 禎範副分野長(エネルギー分野)が語る、北川 進先生との思い出

令和710月、京都大学理事・副学長、高等研究院特別教授の北川 進(きたがわ すすむ)先生が、金属有機構造体(MOF)の先駆的成果によって、ノーベル化学賞を受賞されました。心よりお祝い申し上げます。

「北川先生とは学生時代、同じ研究室でした。毎晩のように一緒に飲んでいました(笑)。厳しさも優しさもある、本当に素敵な先輩です」
F-REIのエネルギー分野を担当する錦谷 禎範副分野長に、北川先生とともに過ごした学生時代のお話やF-REIとのつながりなど、幅広くお話を伺いました。

北川先生とのつながりとノーベル賞受賞の知らせを聞いて

錦谷副分野長は京都大学の学部・修士学生時代、博士課程で学んでいた北川先生と同じ量子化学が専門の米澤研究室に所属していました。そこには NMR(核磁気共鳴)・ESR(電子スピン共鳴)・理論の3つの研究グループがあり、お二人は NMRグループの仲間として机を並べて研究に励んでいたといいます。

北川先生は錦谷副分野長より4年先輩。研究室の中心として頼られる存在でありながら、研究だけでなく日常でも分け隔てなく接してくれる温かいお人柄だったそうです。

北川先生のノーベル賞受賞の知らせを聞いて、「本当におめでとうございます。学問として全く新しい分野を切り開いた、その功績がついに評価されたと感じています」と、胸いっぱいの様子で思いを述べられました。

北川先生との現在の交流は?F-REIとの関わり

錦谷副分野長は、学生時代から現在にわたって北川先生との交流を続けています。

「企業で研究員をしていた時期、北川先生とMOFを使った水素吸蔵材に関する共同研究を行っていました。さらに、約2年半前、私がF-REIの副分野長に就任した時期と、北川先生が京都大学の理事に就任された時期がちょうど重なったことに加えて、今年8月には、京都大学の内本喜晴教授がF-REIのエネルギー分野のユニットリーダーに就任しました。これがきっかけとなり、北川先生がF-REIの活動に関わる流れができました。本当に良いご縁だと思います」と語ります。

さらに、「北川先生から『京都大学とF-REIのこと、よろしく頼むよ』と、そっと声をかけていただいたこともある」と振り返り、その言葉から自分に対する大きな信頼を感じたそうです。

北川先生のノーベル賞受賞研究MOFの研究開発※は、将来、エネルギー問題を劇的に解決する手段になると大きな期待が寄せられています。F-REIが内本喜晴ユニットリーダーのもとで進める高効率水素エネルギーシステムの技術開発とその産業化につなげる取り組みについて、北川先生も大いに注目し応援してくれています。錦谷副分野長も、「F-REIで必ず、成功させたい」と力強く意欲を示しました。

福島に新たな産業を ー若い世代への期待と願いー

今回のインタビューでは、福島の未来や若い世代への期待についても話が広がりました。

錦谷副分野長が目指しているのは、福島、なかでも浜通り地域に新たな産業の流れをつくることです。その原点には、福島第一原発事故の際、多くの方々が地域を守るために必死に取り組み、現在までつなげてきたという事実があります。「福島の復興は日本全体の責務であり、少しでも復興に貢献したい」。この思いが根底にあります。

「産業を生み出すには、人が集まる基盤づくりが欠かせません。“研究開発力”には“基礎”が必要です。基礎研究をしっかりと積み重ねながら仲間とともにレベルアップし、社会に価値を届ける製品や技術を生み出していく。“基礎”が揺るがなければ、その先に続く発展も確実なものになる」と語りました。

最後に、「研究は人間の営みの一つ。人間を理解する必要がある。そのために歴史を学んでほしい」「若い人たちには、一つの分野にとらわれず広い視野で学んでほしい。最終的に社会を動かすのは“人”。どういう“人”でありたいか、という夢を持ってほしい。研究の世界に飛び込んでくれたら嬉しい」と若い世代にメッセージを寄せました。

 

※北川先生のノーベル賞研究に関する情報は、京都大学ホームページをご参照ください。
北川進 理事・副学長、高等研究院特別教授がノーベル化学賞を受賞しました | 京都大学
北川理事・副学長、特別教授の研究成果


※今回のインタビューはオンラインで実施しました。本記事は、インタビュー当時の内容をもとに構成しています。
 インタビュー・執筆:田中・松葉 ほか(F-REI 広報担当)