その他

令和8年 山崎理事長 年頭挨拶

 皆さま、新年明けましておめでとうございます。
 皆さまにおかれましては健やかに新年をお迎えのこととお喜び申し上げます。本年が皆さまにとって素晴らしい一年となりますよう、心よりお祈り申し上げます。
 今年は午年です。相馬野馬追に代表されるように、F-REI(エフレイ)の立地する地域は馬にゆかりのある場所です。間もなく震災から15年を迎えようとしている福島県浜通りに拠点を置き活動する私たちが、ときには競走馬のように疾走し、ときにはポニーのように親しみの持てる存在になるべく、日々精進してまいります。

令和8年の年頭にあたり、F-REIの昨年度の活動を振り返るとともに、新年にあたり何点か申し上げ覚悟を新たにしたいと思います。令和54月にここ福島県浪江町に設立してから間もなく4年目を迎えようとしています。この間、福島をはじめ東北の創造的復興を目指し、地域の課題に向き合い、その先の未来を切り拓くべく、多様な取組みを推進してまいりました。

昨年4月には、福島ロボットテストフィールドRTFF-REIに統合しました。また、日本原子力研究開発機構(JAEA)廃炉環境国際共同研究センター(CLADS)及び国立環境研究所(NIES)福島地域協働研究拠点の一部もF-REIに統合し、設立時に量子科学技術研究開発機構(QST)から統合した放射生態学ユニットと合わせ、地域環境共創ユニットとして再スタートしました。また、各研究分野において研究組織整備の加速や総合調整が進み始め、本年1月1日現在、16研究ユニット、研究者数93人を数えるまでになりました。また同時に研究活動を支える事務組織や専門職組織も着々と整備が進み、総勢189名を数えるに至っております。今後は、専門分野に特化したリサーチエンジニア・グループを5~6領域で整備する計画です。

 同じく昨年4月に、本施設の起工式に合わせ、F-REI 2周年記念シンポジウムを開催してこれまでの活動を振り返り、今後の展望をステークホルダーの皆さまに広く共有することができました。F-REIおよび福島県浜通り地域等に拠点を有し、地域の教育、科学、文化等の振興を目的とした機関が、それぞれ主催し取り組んでいる活動について、広域連携による取組の効果を高めるため、これらの活動の相互扶助(互助)を行う、緩やかなネットワーク「エフとも」も創設しました。 

さらに5月には大阪・関西万博に出展し、F-REIが描く未来像や取組内容をアニメーションで紹介しながら、F-REIの研究が作り出す未来の森やまち、研究所の姿を来場者にご覧いただくことができました。会場には、延べ1万人を超える多くの皆さまにご来場いただき、大盛況のうちに展示を終えることができました。

飛んで10月にはRTFで「WRS 2025過酷環境F-REIチャレンジ」を開催しました。南相馬の本拠点と浪江滑走路を使ったドローンチャレンジや模擬プラントとトンネルを使ったプラント災害チャレンジなど4種目に海外からの8チームを含む国内外の研究機関・企業34チームが参加し、白熱した戦いが繰り広げられました。 

F-REIの重要な機能である「研究開発」では、5つの研究分野において50件を超える委託研究を実施していますが、先ほど触れたとおりインハウス研究体制も16ユニットを数えました。今後も新たなユニットリーダーの確保や設置済みユニットの体制整備を進める計画で、専門性をさらに高め、分野を超えた研究者連携を強化し、インハウスによる研究開発を戦略的、計画的に充実してまいります。 今般応募を開始する若手研究者の海外研究機関への中長期派遣もその一環であります。

さらに、多様な主体との効果的な広域連携を進めるため、F-REI座談会や産学官ネットワーク・セミナーを継続して開催し、対話を通じて地域の産業関係者等にF-REIの研究開発内容を伝えるとともに、産業化、社会実装を見据えたネットワークの構築を図る場として発信してまいります。また、国内外の関係機関と連携協力に関する基本合意書等の締結も積極的に進めてまいりたいと思います。これらの取組みを通じて、研究成果を地域社会に還元し、福島全体の経済活性化にも積極的、効果的に貢献してまいります。

加えて、人材育成の一環として、F-REIの役員によるトップセミナーや出前授業も実施し、科学の魅力や研究者としてのやりがいを伝えることで、様々な分野の研究者や技術者を育成する体制構築を進めてまいります。また、小中学生などにはサイエンスラボで科学技術に触れる多様な機会を提供し、高校生・大学生などにはサマースクールで将来の研究者となるための研究体験を行う機会を提供し、地域の未来を担う若者世代の人材育成にも取組んでまいります。

一方、昨年4月の起工式以降本格的に始まったF-REI本施設の建設が、今後ますます加速していきます。本部棟や研究支援棟を皮切りに、研究実験棟、加速器など特殊機器を備えた固有実験棟、短期宿泊棟などがこれから5年間かけて順次整備されます。特に大型研究設備として重要な加速器(サイクロトロン)、AIを活用した自動実験設備をはじめ共通機器(コアファシリティ)の整備計画が大詰めを迎えます。HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)など、AI活用には欠かせない情報基盤の整備も急がなくてはなりません。先行して進められているJR浪江駅前開発と合わせ、国内外の優れた研究者や企業等の集積に繋がる魅力的な研究開発の環境整備に努めてまいります。また、民間が進める住宅環境整備と共に、自治体の協力を得て地域の人々と一緒になってまちづくりに関わり、地元に定着して親しまれる浜通りのコミュニティづくりを目指してまいります。

 昨年はF-REIのミッション“福島から未来を切り拓く”をはじめ、当面と中長期のビジョン、そしてバリューを定め、内外に公表しました。特にバリューは我々F-REIの構成員一人ひとりがF-REIを動かす原動力であるという自覚をもって行動する5つの力未来をつくる行動の力」「常識を超える挑戦の力」「多様性と連携の力」「開かれた対話の力」「地域の信頼を得る力」です。

我々F-REI職員一人ひとりがF-REIの看板を背負った代表者であるとの自覚のもと、研究成果をインパクトあるイノベーション(社会実装)につなげることを意識して、自ら行動することを大切にしてまいります。

昨年末に閣議決定された令和8年度政府予算案のうち、昨年度比34.4億円増の総額199.6億円がF-REI関連予算として確保されました。特に、研究開発については105.3億円と前年度比1億円増、施設整備費も68.5億円となっています。来年度には第1期工事区間のくい打ちも開始される予定です。 

F-REIは、さまざまなアプローチで着実に成果を積み重ね、福島をはじめ東北の創造的復興を実現するため、令和8年もさらなる成長を目指して努力してまいります。アウトリーチも単なる知名度向上に留まるのではなく、少しずつ出始めている研究成果をしっかりと訴求すべき段階にさしかかっています。各研究ユニットが全国に分散して立ち上がっているため、研究者間の交流や連携にも心を砕かねばならないと思っています。その意味で今までとはフェーズの異なる新たな困難に直面することも予想されます。年頭にあたり構成員とともに覚悟を新たにし、引き続き創造的未来の実現に向け挑戦し続けます。これまでと変わらぬ皆さま方のご支援、ご協力をお願い申し上げます。

 末筆ではありますが、皆さまのご健勝とご多幸を祈念し、新年の挨拶とさせていただきます。

令和8年1月5日
福島国際研究教育機構
理事長 山崎 光悦