放射性物質の動き-森林Radioactivity Dynamics in forests

(2025年)

森林の落葉や腐葉土から放射性セシウムはどのように水へ溶け出すのですか

落葉からは腐葉土よりも多くの放射性セシウム水に溶け出します。落葉からの溶出率腐葉土の2~3倍です。これは、落葉から同時に溶け出す溶存有機物(DOM)がセシウム(Cs)と電気的に結びつき、水相へ移動させる役割を果たすため考えられます

 福島第一原子力発電所事故後、除染が行われていない森林には高濃度の放射性セシウム(137Cs)が残存し、キノコや山菜の汚染を引き起こしています。 

森林の地表には「A0層」と呼ばれる堆積有機物の層があり、これは落ちたばかりの葉(L層)、分解途中の腐葉土(F層)、さらに分解が進んだ腐葉土(H層)から構成されています。 

森林での137Cs移行は、A0層から水相へ溶出した137Csが生物に吸収されることで生じると考えられています。そのため、キノコや山菜の長期的な汚染予測には、A0層から水相への溶出機構を把握することが不可欠です。 

研究では、これらの層から放射性セシウムがどのように水に溶け出すのかを調べました。 

 

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図1.試料採取および溶出試験の概要 

調査・研究の結果、落葉からの溶出量が最も多く、腐葉土の2~3倍ほど高いことがわかりました。さらに、落葉では「溶存有機物(DOM)」と呼ばれる有機物も多く水に溶け出しており、このDOMがセシウムと電気的に結びついて水相へ運ぶ役割を果たしていると示されました 

 

図2.落葉および腐葉土からの放射性セシウムおよびアルカリ金属の溶出率(a)と 溶出試験後の水相中のpHおよび溶存有機炭素(DOC)濃度(b) ※スマホ表示の際に縦表示になるよう、図2の画像を分割しています。 

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図3.溶出試験から推察されたセシウムの溶出機構の模式図 

今回の調査・研究により、落葉からの137Cs溶出率が特に高いこと、そしてDOMがその溶出を助けていることが明らかになりました。これは、森林における137Csの水相への移行を理解し、A0層から水相を経て生物へ移行する過程をモデル化する上で不可欠な知見です。今後のキノコや山菜の汚染予測モデルに組み込むことで、長期的なリスク評価の精度が高まると期待されます。 

 

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